『映画好きの夢と、映画愛・オマージュにあふれた作品。綾瀬はるかをイメージしてたとしか思えない脚本の純愛ラブストーリー。』
綾瀬はるかのための映画
劇場で予告編を観たときから、薄々は気がついていましたが・・・、この映画は「本能寺ホテル」や「ハッピーフライト」と同様、正真正銘、綾瀬はるかのための映画です(笑)
脚本、構成も最初から配役決めてて、綾瀬はるかをイメージして書いたとしか思えない仕上がり。どのカットも綾瀬はるか!、こっちから撮っても綾瀬はるか!!
なにげに豪華なキャスト陣
綾瀬はるか以外のキャストも、坂口健太郎、本田翼、北村一輝、加藤剛となにげに豪華。
坂口健太郎はやさしい塩顔なので、こういう一途でひたむきな青年が似合いますし、北村一輝も役がメインどころじゃないこともあって気が楽なのか、自由奔放に弾けてます。
あと加藤剛の、あのなんと言うんでしょうか、酸いも甘いもかみ分けた?老練?というんでしょうか、語り部としての老人役が素晴らしい。「舟を編む」の監修者役でもそうでしたが、死が間近になっているからこそ、ゆっくり語りかけ、全てを包み込むおだやかさが半端ではありません。ああいう年の取り方をしたい。
映画愛、オマージュにあふれた作品
ローマの休日、オズの魔法使いに始まり、三銃士、大映(劇中にでてくる京映)の栄枯盛衰まで、映画関係のオマージュにあふれまくってます。オマージュのしすぎなのか、三銃士あたりはちょっと中途半端。
なんにせよ、シニア層も取り込む気満々ですよ。
ひさびさの邦画オリジナル脚本
ここ数年は、漫画、小説、アニメが原作の実写化のみで成立していると言っても過言ではない状況の邦画。この「今夜、ロマンス劇場で」のように、ぜひオリジナル脚本でも頑張って欲しいですね。これまでは、映画をノベライズした小説が発売される(「今夜、ロマンス劇場で」もしかり)パターンが一般的だったはずなんですが、最近は完全に逆転されている状況ですから。
もちろん実写化も素晴らしい作品ばかりなのですが、なにぶん原作知ってたり、読んでたりすると、その原作に引っ張られて違和感を感じてしまうこともしばしば。
メディアミックスや制作費の回収を考えると、オリジナル脚本はリスクが高くて、なかなか難しい時代なんだとは思いますが、全く知らないストーリーを観に行くワクワク感は大切にしたいものです。
ラストまで目が離せない
序盤からボチボチと伏線が張られているとはいえ、ラストまでどっちに転ぶかわからない展開を用意できているのはお見事。映画好きであればあるほど、過去の経験から、あのパターンか?このパターンか?と楽しめるのもポイント。ラストまさに「おおー、この展開か」とニヤニヤ。
もちろん、諸々のつっこみどころはありますが、そこはエンターテイメント。ここは黙って、綾瀬はるかのドンピシャはまり役の純愛ラブストーリーを楽しむのが吉。終盤の涙腺アタックに、気がつけば涙があふれていること請け合いです。